昨今のガーデニングブームもありオージープランツが注目されていますが、中でもワイルドな見た目と独特なブラシの花が特徴的なバンクシアが人気を集めています。
でもバンクシアの栽培ってなんだか難しそうだけど?
確かに、オーストラリア出身のバンクシアは日本の環境にあわず育てるのが難しい品種も多いけど、今回紹介するバンクシアは日本の環境でも問題なく育つおすすめの品種だよ!
その名も『スワンプバンクシア』!
バンクシアをはじめオージープランツの栽培が日本では難しいとされる理由は日本の降水量と夏の暑さ、冬の寒さ!
ところがこのスワンプバンクシアは暑さにも寒さにも強く、ジメジメした環境にも耐えるとっても強い品種。
日本でも問題なく育てられる数少ないバンクシアなのです。
この記事では、日本で一番育てやすいバンクシア?『スワンプバンクシア』の魅力と育て方を紹介しています。
その他のバンクシアはこちら
わが家のシンボルツリー!『スワンプバンクシア』
我が家の庭には大小合わせてのべ20種類以上のバンクシアがいます。
その中でも一番のお気に入りと言っても過言ではないのが『スワンプバンクシア(バンクシア ロブル)』。
バンクシアの中でもこのスワンプバンクシアが特に好きで、わが家では大きなスワンプバンクシアを2本育てています。
スワンプバンクシアの魅力は夏は暑くて冬は寒い過酷な日本の環境でも育てやすいところ!
そして大きなギザ葉にワイルドな樹形! だけど意外と場所を選ばないコンパクトな低木。
どれをとっても魅力的!
注目したいのはこの葉の触り心地。
新芽のうちはベロア生地のようにもふみのある厚みとふっわふわでサラサラな手触り。
ずっと触ってられるくらいこの新芽が好き!裏起毛より裏ロブル希望。
わが家で育てている1本目のスワンプバンクシアは、1本幹でうすら長く伸びる枯れた花付きの株。
都内の某大型園芸店にて見切り品半額セールで購入。
樹高180㎝花付きと考えるとかなり格安に思えるお値段に一目惚れ!担いで電車に乗って持って帰りました。
小さなプラポットで根詰まりしていたので帰宅後速やかに植え替え。
よく陽の当たる南向きの軒下に置き、最初の冬は念の為不織布で寒風を防ぎました。
スワンプバンクシアは沼地や湿地帯に生息するバンクシアなので水をガブガブあげても根腐れのリスクが少ない点が魅力。
土壌も選ばず寒さ暑さにも強く、日本でも安心して育てられるので私のような園芸初心者にも優しいバンクシアです。
わが家で育てている2本目のスワンプバンクシアは、株立ち状に伸びる横に大きな株。
株立ちのスワンプバンクシアなんて初めてみた!2本目だけど思わず樹形買いしちゃったよ
日の出から日没まで陽が当たり(だけど西日は直射ではなくやんわり光が届く程度)、雨霜雪にも当たらず風が通りぬける、
わが家の庭最大の特等席に鎮座しています。
こちら株がかなりしっかりしていた為、大寒波が襲来した冬も屋外ノーガードで冬越しできました。
『スワンプバンクシア』の特徴
学名 | Banksia robur |
タイプ | ヤマモガシ科 |
原産地 | オーストラリア |
耐寒気温 | -5℃前後 |
開花期 | 5月〜10月 |
日照 | 日向むき |
スワンプバンクシアがなぜ「日本で一番育てやすいバンクシア*」なのかと言うと、このバンクシアが自生している地域の環境が関係します。*私個人の感想
スワンプバンクシアの“スワンプ”(Swanp)とは沼という意味の英語です。
沼はともかくオーストラリアではこのバンクシアは比較的に水に近い場所に多く分布しているようで、池や縁や河川敷に自生していることが多いそうで、湿度に強いことがわかります。
高温にも高湿度にも強く、軽い霜にも多少の寒さ(-5度程度)耐えられることから、比較的バンクシアが調子を崩しやすいとされる日本の梅雨から暑い夏の時期、寒い冬を露地で越すことができるタフなバンクシアなのです。
また、スワンプバンクシアの樹高、幅ともに2mほど。葉が大きい割に意外にもカテゴリーは低木。
その為、日本の住宅事情にもたいへんマッチしている貴重なバンクシアであることがあわかります。
暑さ寒さ水やりにそれほど気を使うことなく育てやすいバンクシアですが、「リグノチューバー」と「プロテオイド根」の存在だけはだけはざっくりとでも知っとくと、栽培の成功率がさらに向上します。
リグノチューバー
バンクシアの中にはリグノチューバーと呼ばれる再生 機関を備えている種もあります。
山火事などで全身が喪失する出来事が起こった場合でも、リグノチューバーさえあれば再生することができます。
リグノチューバーは一般的には焼失を避けるために地際や株元、土の中に作られる場合が多いですがスワンプバンクシアの場合は枝の途中に出来たりもして読めません。
全てのバンクシアにこのリグノチューバーが備わっているわけではありません。
プロテオイド根
バンクシアには「プロテオイド根」と呼ばれる独特な根の構造をしています。
根が塊になっていることからクラスター根とも呼ばれ、リン酸を多く摂取する役割を担っています。
この根のおかげで多くのバンクシアは栄養の乏しい砂地や痩せ地に自生することができています。
逆に肥えた地だとリン酸過多で調子を崩して枯れてしまうリスクが!
『スワンプバンクシア』を実際に購入して育てる
『スワンプバンクシア』の値段の相場と購入方法
スワンプバンクシアは日本の環境でも育てやすく繁殖も容易とあって、数あるバンクシアの中でも比較的手に入れやすい品種です。
一般的に手に入れる方法としては、直接園芸店に足を運ぶ、もしくは楽天などのオンライショップを利用するなど。
近年ではフリマアプリなどでも多く取引されています。
価格の相場は5号ポットサイズで3000円台から。
『スワンプバンクシア』の置き場所
日当たりと風通しがいい場所に置くのが好ましい品種です。
特に日当たりは株の健康と花つきに直結の影響を及ぼします。
スワンプバンクシアは葉焼けにも強く西日にも耐えます。
暑さに強く、湿度にも高い耐性を持ち合わせているため雨晒しの管理でも問題ありません。
『スワンプバンクシア』の水やり
オージープランツの水やりの基本は「土の表面が乾いたらたっぷりと!」ですよね。
乾かしすぎても水切れNG。水を頻繁にあげすぎても根腐れアウト。結局どっちなの!?
スワンプバンクシアの水やりは特に気を使わず大丈夫です。
湿地でも育てられるバンクシアなので根腐れにもある程度耐性があるんだとか。
わが家では土の表面がほんのり乾いて初めてきたかな?のタイミングでジャブジャブあげてます
鉢植え管理のわが家では、春と秋は2〜3日に1回程度
冬は1週間に1、2回程度
夏は思考停止で毎日!時には朝夕2回に分けてあげることもあります。
『スワンプバンクシア』の用土
弱酸性に傾いた土壌であればそこまで土にもこだわりません。
生息地のことを考えると保水性の高い用土が好まれるかな?とも思うのですが、わが家のスワンプバンクシアは2本とも鹿沼土ベースのパーライトや日向土の混じった水はけの良い土壌を使っていますが、
今のところは問題なく育ってくれています。
『スワンプバンクシア』の肥料
スワンプバンクシアの肥料には『両筑プランツショップ』にて購入した、リン酸をほとんど含まない「グレヴィレア バンクシア専用肥料」を与えています。
この肥料はその名の通り「プロテオイド根」をもつバンクシアにも安心して与えることができる配合で作られています。
『スワンプバンクシア』の病害虫
スワンプバンクシアを育てていて特に害虫の存在を気にしたことはないのですが、全ての植物栽培の敵!コガネ虫の幼虫だけは要注意!(ようちゅうだけに…)
コガネ虫の幼虫は定期的なオルトラン散布で予防が一番の対策です。
わが家でも月イチで表土に撒いています
カナブンの成虫に葉を食べられる場合もあります。この硬い葉っぱ、歯応えがあって意外と美味しいのかもしれませんね。
カナブンは見つけ次第撲殺推奨。(私はカナブン撲殺に抵抗があるため虫かごに入れて子供たちにプレゼントします)
花は蜜がいっぱいなのでナメクジが舐め登ってくる場合があります。普通に気持ち悪いので駆除推奨。
その他にはコナカイガラムシやアブラムシがつくそうですがわが家では今のところ未発見です。
ひとまず“枯れ”に直結する害虫はコガネ虫なのでこいつの侵入だけはなんとしても防いでください。
『スワンプバンクシア』の夏対策
暑さに強いと言っても昨今の日本の気温と強すぎる日差しは出身地のオーストラリアを凌ぎます。
万が一に備えて35度を超えるような日は遮光ネットで日除け対策が効果的。
わが家では遮光率60%のネットを軒下にかけて、午後からの強い日差しと西日からバンクシア達を守るのに使っています。
『スワンプバンクシア』の冬対策
大寒波が襲来したこの年の冬は寒さに強いとされるスワンプバンクシアの葉や成長点を傷めつけてしまうほど。
枯れるまではいかなくても傷んだ葉は元に戻らず見栄えも悪くなるため、冬の間は不織布ネットを全身に巻きつけて冬の寒風から成長点をガード。
小さい苗であれば夜間のみ屋内へ避難させる対策も有効です。
花芽促進と枝の分岐に剪定は必須!
バンクシアを育てる上で欠かせないのが剪定作業。
剪定するメリットはいくつかありますが、私がバンクシアを剪定する理由は枝数を増やして幹を太くしたいのが一つ。
もう一つは花を毎年安定して咲かせるためです。
枝を分岐させたい部分に鋏を入れて枝をカット
カットした葉は捨てずに取っておくと後で挿し木に使えます。
鋏を入れた切り口から菌の侵入や水分が抜けるのを防ぐために、保護剤を塗布しておくと安心です。
何日かするとカットした付近の葉の付け根から赤いポツポツ(新芽)が膨らみ始めて、
瞬く間に大きく成長。
カットから数ヶ月で元のサイズを超えるボリュームにまで大きくなりました。
スワンプバンクシア開花の様子
バンクシアの花は株の成長に伴い自然に開花しますが、剪定してあげることで花芽がつきやすくなるそう。
半信半疑で試しに剪定してみたところ、剪定した箇所の脇から明らかに新芽の出方とは違う膨らみが出現。
しばらく経つと膨らみから小さなコーンが露出。
1日に2〜3㎜程度の成長スピードでコーンが伸びていきます。
最初の花芽発見からわずか3週間でここまで伸びました。
花芽を発見してから1ヶ月半かけてようやくバンクシアの花の見た目になりました!
ドライにするならこの辺りでカットすることが望ましいのですが、わが家で開花した初めてのスワンプバンクシアなのでこのまま最後まで見守ることにしました。
花芽確認から2ヶ月目でラストスパート! 最後は揚げたてのコロッケのようなキレイなきつね色となりフィニッシュ。
この状態でのさわり心地はそのまんまタワシ。その気になればこのバンクシアの枯れた花を使ってテラコッタ鉢のコケ掃除くらいなら問題なくできそうです。
剪定が功を奏したのかはわかりませんが、最終的には6つの花芽があがり、長い期間開花の様子を楽しませてくれました。
なんと!その後枯れた花殻がポロポロと落ちて、種を包むお口が出てきました!
ズームでの様子
これ、タネですよね!?
昨年の秋に見切り品の苗を格安で購入して、冬の寒風から数少なくなった葉と成長点を不織布で守り、
春に芽が出て初夏に開花、そしてお迎えして1年が経つ秋に種にをつけてくれたロブル(泣)
どこまでも愛おしいやつ
剪定したら挿し木で増やそう!
剪定した切り枝を使ってスワンプバンクシアの挿し木に挑戦。
切りたての枝の断面を乾燥させないようすぐに水に浸けるのですが、
この時、100倍に薄めたメネデール液を水の中に含ませておくと発根率が向上します。
メネデール入りの水に2、3時間浸けた後、断面に発根促進剤「ルートン」を適量まぶし、あらかじめ湿らせておいた用土(鹿沼土微粒7:ピートモス3)に挿したら完了です。
\無事発根!挿し木成功/
個人的にはスワンプバンクシアの挿し木成功率は他のバンクシアと比べても頭ひつと抜けて成功しやすいと感じているほど、挿せば挿しただけ増やせます。
今回の挿し木もほぼ全ての挿し穂から根を確認することができました。
日本でも育てやすいバンクシア
東西合わせて20種類以上のバンクシアを育ててきた筆者ですが、スワンプバンクシアは特に日本の環境下で育てやすいと感じています。
寒冷地や豪雪地帯を除く広い範囲で地植え可能な高い耐寒性に加え、オージープランツの天敵である夏の暑さと蒸れにも耐える堅強な品種。
低木に分類されるため日本の住宅事情にもマッチしており、沼地に生息するスワンプバンクシアなら多少水はけの悪い庭でも大丈夫!
バンクシアをシンボルツリーにしたいと考えている方、スワンプバンクシアを候補に入れてみてはいかがでしょうか☆
コメント