大小合わせてのべ15種類以上のバンクシアを育てているわが家が、日本の環境でも育てやすいバンクシアを紹介します。
今回紹介したいバンクシアは『ヘアピンバンクシア(バンクシア スピヌローサ)』
ヘアピンバンクシアはこれまで紹介してきたスワンプバンクシア 、ヒースバンクシア同様、四季のある日本の環境でも安心して育てられる数少ないバンクシアの1つです。
その他のバンクシアはこちら
『ヘアピンバンクシア』の成長記録
わが家のヘアピンバンクシアとは昨年初冬にホームセンターで出会い、幹の太さに一目惚れしてお持ち帰り。
枝は凄まじく徒長してますがこのサイズでこの幹の太さで破格のお値段(8000円)
ホームセンターのこういう出会い方ってトラップですよね
冬の様子
枝が徒長し放題暴れ放題だったため、真冬にもかかわらず一度軽く剪定。
春の様子
そして暖かくなり始めた春頃に今度はバッサリ強剪定!
大量についてた脇目もカットしました。
徒長枝を整えるというよりは仕立て直しに近い形でかなり短く整えました。
剪定した枝からも株もとのリグのチューバからもすぐに沢山の脇芽が展開してきました。
夏の様子
本格的に暑くなり始めた6月頃からの成長が顕著で、8月頃にはご覧の通りこれまでで一番のボリュームに成長。
向こうっ側が見えなくなったね!
秋になったら翌年以降の花芽を狙って再度剪定します。
翌年の春の様子
縦にも横にもまた一回り大きくなりました。
さらに昨年剪定した枝の分岐点から待望の花芽も確認!
夏〜秋にかけて徐々に膨らんで
寒さが本格化する12月前には見頃のピークを迎えました。
春に最初に花芽を確認してから開花まで半年
長いスパンで花芽の変化が楽しめるのもバンクシアの魅力の一つですね。
『ヘアピンバンクシア』の特徴
学名 | Banksia spinulosa |
タイプ | ヤマモガシ科 |
原産地 | オーストラリア |
耐寒気温 | -5℃前後 |
開花期 | 冬頃 |
日照 | 日向むき |
ヘアピンバンクシアは学名バンクシア・スピヌローサ(Banksia spinulosa)と呼ばれる東オーストラリア出身のバンクシアです。
ヘアピンバンクシアは細長いギザ葉が特徴のバンクシアで、日本の松のような見た目。
初見の人からは高確率で松と間違えられる 笑
実はヘアピンバンクシアの中にもいくつか種類があり、それぞれ葉の太さ(幅)や花の色(オレンジ、赤、紫)が異なります。
残念ながらわが家のヘアピンバンクシアは未だ未開花の株なので、どの色の花が咲くかはわかりません。
オーストラリアの東側(太平洋側)の海岸沿いを中心に分布しているためか、暑さはもちろん、ある程度の湿気にも耐える丈夫な品種です。
樹高はだいたい縦にも横にも2mほどに成長します。
ヘアピンバンクシアを育てる上で意識したいのが「リグノチューバ」と「プロテオイド根」の存在です。
リグノチューバー
バンクシアの中にはリグノチューバーと呼ばれる再生 機関を備えている種もあります。
山火事などで全身が喪失する出来事が起こった場合でも、リグノチューバーさえあれば再生することができます。
リグノチューバーは一般的には焼失を避けるために地際や株元、土の中に作られる場合が多いですが、わが家のヘアピンバンクシアの場合はどうやら株元に集中しているようです。
全てのバンクシアにこのリグノチューバーが備わっているわけではありません。
プロテオイド根
バンクシアには「プロテオイド根」と呼ばれる独特な根の構造をしています。
根が塊になっていることからクラスター根とも呼ばれ、リン酸を多く摂取する役割を担っています。
この根のおかげで多くのバンクシアは栄養の乏しい砂地や痩せ地に自生することができています。
逆に肥えた地だとリン酸過多で調子を崩して枯れてしまうリスクが!
『ヘアピンバンクシア』を実際に購入して育てる
『ヘアピンバンクシア』の値段の相場と購入方法
ヘアピンバンクシアはとても丈夫で育てやすく、花つきも良いことから日本でも人気が高く、数あるバンクシアの中でも比較的手に入れやすい品種です。
ヘアピンバンクシアの苗を手に入れる方法としては、園芸店やホームセンター、もしくは楽天などのオンライショップを利用するなどの方法があります。
近年ではフリマアプリなどでも多く取引されています。
価格の相場は5号ポットサイズで2000円台から。小さいポットサイズのものであれば1000円ほどで購入できる場合もありますが、大株や花つきの株だと価格が大きく上がります。
『ヘアピンバンクシア』の置き場所
日当たりと風通しがいい場所に置くのが好ましい品種です。
ヘアピンバンクシアは日本の環境でも育てやすいバンクシアなので、暖地であれば十分地植えも可能。
ヘアピンバンクシアは樹高こそ2メートル前後の低木に当たる品種なのですが、横に大きく育つため樹高以上に幅を取ります。
そのため、地植えするにはそれなりに広いスペースが必要となり、狭い庭のわが家では鉢植えで管理しています。
ヘアピンバンクシアは暑さに強く、湿度にもそれなりに強いため、わが家ではよく日の当たる屋外で管理しています。
『ヘアピンバンクシア』の水やり
鉢植え管理のわが家では、春と秋は2〜3日に1回程度
冬は1週間に1、2回程度
夏は早朝に1回、場合によっては夕方にも1回の計2回与えることもあります。
わが家ではヒースバンクシア、ウォールムバンクシアと同じタイミングで水をやる場合が多いです
『ヘアピンバンクシア』の用土
ヘアピンバンクシアは酸性に傾いた土を好みます。
土壌は他の東オーストラリア出身バンクシア同様、水はけと水もち両方を意識した配合にしています。
基本的には鹿沼土ベースで、硬質赤玉土、軽石、パーライト、ピートモスを加えたものを使用。
『ヘアピンバンクシア』の肥料
ヘアピンバンクシアの肥料には『両筑プランツショップ』にて購入した、リン酸をほとんど含まない「グレヴィレア バンクシア専用肥料」を与えています。
この肥料はその名の通り「プロテオイド根」をもつバンクシアにも安心して与えることができる配合で作られています。
リン酸を多く含まない肥料であれば問題ないので、わが家では「グレヴィレア バンクシア専用肥料」の他に、ハイポネックスの活力剤「リキダス」と混ぜて芝用の液肥を与えたりもしています。
『ヘアピンバンクシア』の病害虫
プロテオイド根をもつ植物なので、コガネムシやヨトウ虫など根に直接危害を加える害虫は総じて怖いです。
わが家では、コガネ虫の幼虫やアブラムシ対策で定期的なオルトラン散布で予防しています。
『ヘアピンバンクシア』の剪定
他のバンクシア同様ヘアピンバンクシアも剪定することで枝数が増え、幹も太くなるため樹形を整えたり強風に強くなるというメリットがあります。
剪定した箇所から沢山の芽が出た様子
その他にも剪定は開花を促進したり、風通しをよくしたりと様々なメリットがあるため、ぜひ積極的に行っていきたいところ。
『ヘアピンバンクシア』の夏対策
ヘアピンバンクシアは暑さに強く、日本の夏の高温多湿も耐える頼もしいバンクシアです。
わが家ではとくにこれといった夏越し対策は行わず、強いて言えば水はけの良い土壌に、水は早朝、もしくは日が沈みかけた夕方以降に与えて蒸れないようにしています。
『ヘアピンバンクシア』の冬対策
大株であれば-6度までは余裕を持って耐えるというヘアピンバンクシア。暖地であれば外で冬越しも可能です。
わが家で育てているバンクシアの中でも一際寒さに強いと感じています
そうは言ってもやはり心配なので、寒波襲来時や強い寒風が吹き荒れる夜間には不織布のカバーをかけるなど、過保護にお世話しました。
『ヘアピンバンクシア』の増やし方
ヘアピンバンクシアは挿し木で簡単に増やすことができます。
わが家ではヘアピンバンクシアを剪定した際に出る切り枝を使って挿し木株を順調に増やしていってます。
挿し木の手順
切りたての枝の断面を乾燥させないようすぐに水に浸けるのですが、
この時、100倍に薄めたメネデール液を水の中に含ませておくと発根率が向上します。
メネデール入りの水に2、3時間浸けた後、断面に発根促進剤「ルートン」を適量まぶし、あらかじめ湿らせておいた用土(鹿沼土微粒7:ピートモス3)に挿したら完了。
時期にもよりますが、早ければ挿してから2ヶ月ほどで発根を確認することができます。
\無事発根!挿し木成功/
剪定する機会が多かったわが家のヘアピンバンクシアはその都度挿し木していたため、小さなバンクシアが庭中に溢れかえっています。
『ヘアピンバンクシア』は日本の環境でもよく育つ!
東西合わせて15種類以上のバンクシアを育ててきた筆者ですが、ヘアピンバンクシアはヒースバンクシアやスワンプバンクシア同様に日本の環境下で育てやすいと感じています。
寒冷地や豪雪地帯を除く広い範囲で地植え可能な高い耐寒性に加え、沿岸沿い出身のためか湿度にもある程度強い品種です。
そして、バンクシアの中では樹高2メートル前後と比較的コンパクトにまとまる品種なので鉢植えで管理もできて、狭いお庭のシンボルツリーとしても活躍します。
日本の松よような見た目から和洋どちらの庭でも合うのも魅力です。
バンクシアをシンボルツリーにしたいと考えている方、ヘアピンバンクシアを候補に入れてみてはいかがでしょうか☆
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